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小倉昌男著『経営学』

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    小倉昌男著『経営学』(日経BP社 1999年)

     

     現在、宅急便として知られるヤマト運輸に転換期が訪れているようです。通販が日常的となり取り扱い貨物量の拡大に現在の流通システムが追い付かなくなっています。結果として、再配達の拡大で運転手さんの時間外労働が日常化し苛酷な労働をせざるを得なくなっています。サービス残業化していた時間外労働に対する過去の支払いは100億を超えるということで業績にも影響しています。

     ヤマト運輸では、取引先との打ち切りや値上げの交渉、また実際に値上げの決定、配達時間帯の制限など検討を始めています。これが他の運送会社や通販会社そして消費者にどのような影響が出るかはまだ不明です。

     

     宅配便のヤマト運輸を確立した小倉昌男氏の『経営学』が発売当時は大変な反響を呼びました。もし生きていたら、現在の状況にどのような判断を下すのか考えさせられます。或いはここまでくる間に有効な手を打っていたかもしれません。『経営学』の第15章は「経営リーダー10の条件」となっています。

    10の条件とは「論理的思考」「時代の風を読む」「戦略的思考」「攻めの経営」「行政に頼らぬ自立の精神」「政治家に頼るな、自助努力あるのみ」「マスコミとの良い関係」「明るい性格」「身銭を切ること」「高い倫理観」ですが、今回は「高い倫理観」からの引用です。

     

     企業が永続するためには、人間に人格があるように、企業に優れた「社格」がなければならない。人格に人徳があるように、会社にも「社徳」が必要である。

     企業の目的は営利であり、利益の出ている会社がいい会社であり、儲からない赤字の会社は、いくら良い商品を作り、優れたサービスを提供しても、良くない会社だ、という考え方の人もいると思う。要するに企業の存在価値は利潤を生みだすことである、と割り切るわけだが、果たしてそれが正しい考えなのであろうか。

     私はそうは思わない。企業の目的は、永続することだと思うのである。永続するためには、利益が出会ていなければならない。つまり利益は、手段であり、また企業活動の結果である。

     企業は社会的な存在である。土地や機械と云った資本を有効に活用させ、財やサービスを地域社会に提供して、国民の生活を保持する役目を担っている。さらに雇用の機会を地域に与えることによって、住民の生活を支えている。企業は永続的に活動を続けることが必要であり、そのために利益を必要としているのである。

     企業の存在意義は、端的に言えば、地域社会に対し有用な財やサービスを提供し、併せて住民を多数雇用して生活の基盤を支えることに尽きると思っている。それが企業の活動だが、企業とは地域の人をよろこばす存在であるべきで、それでこそ社会的存在ということができるのである。

     私は個人的に、人間として大事なことは「まごころ」と「思いやり」だと思っている。顧客に対しても、社員に対しても、「まごころ」と「思いやり」で接することを信条としてやってきた。

     ヤマト運輸が、創業以来足を向けて寝られないほどご恩になった三越百貨店と50年以上にわたる取引を宅急便を開始して間もなく破棄したのは、当時の三越の岡田社長の倫理観の欠落がどうにも許せなかったからであった。あんな経営者には絶対になるまい、と心に誓ったのである。

     それから20年余り、お客様の力強い支持と、社員の献身的な働きによって、宅急便は当初考えてもいなかったほどの発展を見せた。

      

    shr-horiuchi * こんな本を読みました * 20:49 * comments(0) * trackbacks(0) * - -

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