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ハーパー・リー『アラバマ物語』・『さあ、見張りを立てよ』その2

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    ハーパー・リー著

     『アラバマ物語』(暮らしの手帳)、『さあ、見張りを立てよ』(早川書房)

     

     前回に続き今回は、『さあ、見張りを立てよ』の本文からの引用ですが、このアメリカ人の心情は現在に至るまで残されているのではないでしょうか。以下は主人公ジーンの友人クロ-ディーンがアラバマの片田舎からニューヨークに遊びに来た時の感想です。アメリカでもリベラルな大都市以外では、今日でも意外にクローディーンのような人たちが優勢を占めているのではないでしょうか。

     

    「押したり押し返したりって、まさにそれがニューヨークの人たちね。マナーってものがないのよ。」とクローディーンは言った。

    「マナーはあるわ、クローディーン。ただ、私たちのとは違うのよ。私をバスで押した人は、押し返されるのを予期していたの。それが、私のすべきことだったのよ。ゲームみたいなものよ。ニューヨーク以上にいい人たちがいるところはないわ。」

    クローディーンは口をすぼめた「でも、私はイタリア人とかプエルトリコ人とかと交わりたくはないわね。ある日、ドラッグストアであたりを見回したら、黒人の女が私のすぐ隣で食事をしているじゃない。私のすぐ隣でよ。もちろん、それができるってことは分かってたけど、本当にショックだったわ。」

    「その人は、あなたを傷つけたりしたの?」

    「まあ、してないわね。でも、私は急いで立ち上がって店を出たわ」

    「お分かりでしょうけど」とジーンは穏やかに言った。「ニューヨークではあらゆる種類の人たちが自由に歩き回ってるのよ」

    クローディーンはは背中を丸めた。「信じられないわ。あなた、ああいった人たちとよく暮らせるわね」

    「全然意識しないのよ。彼らと一緒に仕事をし、食事も一緒に隣りでしたりするし、バスも一緒に乗るわ。でも、わざわざ意識しようと思わなければ、意識しないの。肥った巨体の黒人がバスで隣に座っても、立ち上がってバスを降りるときまで、そのことを知らなかったりする。とにかく気づかないのよ。」

    「でも私は気付いたわよ。あなたって目が不自由なんじゃないの」

    目が不自由。確かに私はそれだ。目が開いていなかったのだ。人々の心の中を覗き込もうと思わなかった。

     

    ■上記に関連して、このブログでも紹介しましたサミュエル・ハチントン著『分断されるアメリカ』(集英社 2004年)からも引用します。まるでトランプの出現を予言していたようです。

     

    産業界のエリートのグローバリゼーション志向は、雇用を海外に流出させ、その結果、所得格差が拡大して労働者階級のアメリカ人の実質賃金が下がった。リベラルな主流派のメディアは、白人男性に対する犯罪よりも、黒人や同性愛者や女性に対する犯罪をより大きく取り上げてダブルスタンダードを用いていると、一部の白人は見ている。大量のヒスパニックの継続的な流入は、白人のアングロープロテスタント文化の優位を脅かし。唯一の国語としての英語の地位も揺るがす。ホワイトーネイティビズムの動きは、こうしたトレンドに対して起こり得る当然の反応であり、景気の下降期や困難な時期にはきわめて発生しやすい。それが生じる可能性は、いくつかの要因によって高まっている。

    shr-horiuchi * こんな本を読みました * 21:56 * comments(0) * trackbacks(0) * - -

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