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畑村洋太郎『失敗学の法則』&西成活裕『無駄学』

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    畑村洋太郎著『失敗学の法則』(文春文庫)

    西成活裕著『無駄学』(新潮社 2008年)

     

     築地市場の豊洲移転問題に対して、東京都の調査で「盛り土をしない決定」には8人にその責任があると発表がありました。都民としてはまだまだ納得できない部分もありますが、「盛り土をしない決定」を誰がいつ行ったかの一応の決着がついたということでしょうか。しかしまだまだ誰が危険な豊洲移転を決めたのか、建設に当たっての談合はなかったのか、誰が利権を得ているのか、今後の安心・安全性は担保されるのか、これらに沈黙を守る自民党都議は無関係なのか、等々問題は山積みです。

     また、東京オリンピックの会場問題に関しては、見直しを協議する4者による実務者の作業部会が始まりました。しかし報道ではこの協議は非公開ということになり、しかもむさくるしそうな男ばかりの協議であり、密室での馴れ合いの取引になってしまいそうです。どこに決まろうと非公開では何かしら圧力と裏があると勘ぐられても仕方ありませんね。

     おまけに東京都の調査チームの報告でオリンピック終了後のこれらの施設の管理運営は財団にすることが望ましいとありましたが、早速に自分たちの天下り先を準備するとは、官僚のしたたかさと悪賢さに感心するしかありません。

    以下、『失敗学の法則』からの引用です。この『失敗学の法則』は2002年に出版され当時はかなり話題になったと思いますが、すぐに忘れられてしまうのでしょうか。

     

     外的条件の変化などによって、いったん取り決めた企画や計画や設計を途中で変更させざるを得ない場合もあります。このときに気をつけなければいけないのは、「何をどう変えたか」という情報を組織全体で共有することなのですが、これは大変困難なことです。組織の中では部署間の情本伝達が不十分な場合が多く、「情報断絶」を起こしやすいからです。すると、せっかく改良のための変更だったのに、結果は失敗となります。

     これを防ぐためには、作業に取り掛かる前に、すべての情報を盛り込んだ「最終計画」を作り、組織全体がそれを共有し、すべてそれに従って進める、というやり方が理想的なのです。そして途中変更を余儀なくされあt場合は、「最終計画」を書き直します。つまり、「最終計画」を常に、「最終」にしておくことが肝心なのです。

     

     建築の世界は、詳細部分まで決めた「詳細図」などはもちろん作りますが、機械のときのようにきっちりすべてを決めてから建設を始めるということは、実際にはできません。たとえばマンションを建設する際も、いろいろなことが未確定のまま作業がはじめられます。しかも、建設中に顧客から予想外の希望が出てくるなどして、細かい変更があちこちで生じます。また、天候のせいで工期が遅れたり、何らかの事情で予定していた建材が揃わないといったアクシデントによって、途中で計画の変更を余儀なくされることもあります。

     こうした変更が生じたら、すぐに全体を取りまとめている設計者に連絡すべきなのですが、なかなか必要な情報が連絡されません。しかし、こうして情報が斬絶したまま作業が進められると、予期しなかったトラブルがあちこちで起こってしまいます。たとえばマンション完成後、入居者から雨漏りがひどい、天井が落ちてきた、床が傾いているなどクレームが相次ぐことになります。

     このような情報の断絶は、ものごとを見切り発車した場合にも起きます。建築に限らず、どんな業界でも納期が迫っているために、さまざまなことが未確定のまま、あるいはきちんと決めないままとりあえず作業を始めてしまうということは、よくあります。

    そこでたいていの場合は、作業が進むうちに当初の計画を変えなければいけなくなるのです。このとき、情報の断絶が起こり、それがミスやトラブルに繋がってしまうのです。

     

     情報の断絶は計画の途中変更や見切り発車をする時に起きやすく、しかもそれによるトラブルや失敗は、けいかくの最終段階になって出来するケースが少なくありません。こうした失敗を防ぐためにも、理想的なやり方としては、計画や企画を立てるときにはあいまいな部分を残さないこと、いったん決めた計画や企画は極力変えないことです。

     さらにやむを得ない事情で途中変更や見切り発車を余儀なくされたときに備えてのシステムづくりも考えておかなければなりません。たとえば各部署での変更の情報などは必ず組織上部の人間が把握し、上部の人間も、その変更情報を知る必要のあるすべての部署へ下ろすようにする。場合によってはいったん全体の作業を中止するなど、細心の注意を払わなければなりません。

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