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二階堂奥歯著『八本脚の蝶』&池田晶子著『残酷人生論』

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    二階堂奥歯著『八本脚の蝶』(ポプラ社 2006年1月)

    池田晶子著『残酷人生論』(情報センター出版局 1998年3月)他著書多数

     

     サンケイ新聞の書評欄で二階堂奥歯という奇妙な名前の作家、そしてその唯一の著書『八本脚の蝶』という奇妙な書名の本のことを知りました。この本が今年の本屋大賞で「超発掘本」に選ばれとということです。以下その新聞の記事より。

     本書は早大哲学科を出て編集者として働ていた女性の2001年6月13日から2003年4月26日までのウエッブ日記である。先鋭かつ繊細な美意識に貫かれた女性らしい日常も記されているが、これはもはや特異な読書日記と言ったほうがいいだろう。めまいのしそうな「難解」な本が次から次へ紹介される。

     奥歯は「好きな本を三冊選べと言われたら」と前置きをして、ヴィトゲンシュタイン『論理哲学論考』、ボルヘス『伝奇集』、レアージュ『O嬢の物語』を挙げる。その中から一篇の言葉だけを選ぶとしたら、それはボルヘスの「バベルの図書館」にある次の言葉だという。「宇宙は、真ん中に大きな換気口があり、きわめて低いてすりで囲まれた、不定数の、おそらく無限数の六角形の回廊で成り立っている」。哲学と幻想文学に耽溺する奥歯は、「バベルの図書館」という迷宮に移り住もうとするかのように、2003年4月26日未明に飛び降り自殺をする。25歳だった。日記の最期に奥歯はこう記している。「二階堂奥歯は、2003年4月26日、まだ朝が来る前に、自分の意志に基づき飛び降り自殺をしました。」

     

     本屋で見つからずに、図書館から借りて読んでみました。いい加減な興味から読むなら、読まない方がいいし、真面目な関心を持ったなら、いいかげんに読んだ方がいい。真面目に真剣に読むには、かなり危険な本といえます。特に若い女性にとっては。著者は、ウエッブ上でこの日記を書き始めた時から、自殺を意識していたようですし、おそらく友人・知人・この日記の読者はいつかは自殺するのだろうと予感を以て読んでいたものと思われます。以下に『八本脚の蝶』から「書名の謂われ」を箇所を引用します。

     

     虫のオブジェでいちばん好きなのは、東大寺大仏殿にある花挿しについている青銅の揚羽蝶だ。この揚羽蝶はからだがむくむくしていてかわいいし、なんといっても脚が八本もあるのだ。昆虫の定義は六本脚であることだというのに、本当におかしなやつだ。

    なんで東大寺だけ八本なのか調べていたら、次のような説を見つけた。福寿寺にある平家の赤旗に描かれている揚羽蝶は、触覚が六本脚の後方についている(へんな蝶だ)。それを元にして作って間違えたのではないかというのだ。すてきだ。デユーラーの犀のように、間違いが間違いを呼び、怪獣が生まれる。八本脚揚羽蝶を私の紋にしようかな。

     

    そしてこのウエッブ日記の最期の言葉は

     

     最後のお知らせ

    二階堂奥歯は、2003年4月26日、まだ朝が来る前に、自分の意志に基づき飛び降り自殺をしました。

    このお知らせも私二階堂奥歯が書いています。これまでご覧くださってありがとうございました。

     

     この本を読んでいる時から頭に浮かんだのが、なぜか池田晶子さんでした。彼女は慶応大学哲学科卒業で2007年2月23日、腎臓がんのために46歳で逝去。週刊新潮連載のエッセイ「人間自身」の最終回「墓誌銘」は死後掲載される。

    この二人、それぞれ早稲田・慶応の哲学科を卒業し、おそらくはともに美人で、聡明で、裕福な家庭で育ち豊かな人生を送っていたものと思われます。一方は自殺、一方は癌による病死ではありますが、その早すぎた死が惜しまれます。

    この二人、どこか似ているようでもあり、まったく正反対のようでもあり。

     

    ちなみに、池田晶子さんの「墓碑銘」における最後の言葉は、

     「一生涯存在の謎を追い求め、表現しようともがいた物書きである。ならこんなのはどうだろうか。『さて死んだのは誰なのか』楽しいお墓ウオッチングで、不意打ちを食らって考え込んでくれる人がいますかね。」

    shr-horiuchi * こんな本を読みました * 20:16 * comments(0) * trackbacks(0) * - -

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