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ビル・ブライソン『アメリカを変えた夏1927年』&ガルブレイス『大恐慌1929年』

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    ビル・ブライソン『アメリカを変えた夏1927年』(白水社 2015年10月)
    J・K・ガルブレイス『大恐慌1929年は再び来るか』(徳間書店 昭和46年2月)

     『アメリカを変えた夏1927年』は、チャールズ・リンドバーグが1927年5月21日に愛機「スピリット・オブ・セントルイス号」を操縦して初の大西洋横断飛行でフランスのパリに着陸するという偉業を成し遂げた成功談とその後の全米凱旋ツアーから始まります。この年は大リーグでベーブ・ルイスがシーズン60本の本塁打を打った年でもあります。また、1920年代は第一次世界大戦が終わりアメリカが経済だけではなくあらゆる分野で世界のトップに登り始めた時であり、1927年は1929年の大恐慌前のアメリカ人が最も浮かれていた時代でもあります。
    『アメリカを変えた夏1927年』にはたくさんのこの時代象徴するような人物が登場しますが、その一部ですが「訳者あとがき」から引用します。ともかくハードカバーで581ページ、多様な登場人物の「嘘のような、ほんとのような」エピソード話満載でとても面白く、充分に楽しめ、年末年始の時間がある方には絶対にお勧めします。

     本書にはリンド―バーグをはじめとする当時の名だたる飛行家たち、野球のベーブ・ルース、自動車王ヘンリー・フォード、シカゴの闇の帝王アル・カポネ、ボクシングを人気興業に変えたヘビー級チャンピョンのジャック・デンプシー、株価大暴落と世界大恐慌の直前のアメリカの未曽有の繁栄をリードした(というより、著者によれば何もしなかったことでかえって邪魔だてせずになるに任せた)クーリッジ大統領、無声映画の最後を飾った銀幕のアイドル女優クララ・ボウなどが次々と登場する。アメリカの、そしてやがては世界の社会に深く、長期的な影響を与えた綺羅星の如き面々だ。アメリカが世界に冠たる超大国へと変貌を遂げた「ジャズの時代」「狂騒の20年代」が、時代の申し子たちの多彩なエピソードを丹念に拾い上げながら描き出されている。しかも時代のターニングポイントとなったのが、1927年の5月から9月の、わずか半年足らずの「ひと夏」だった、とするところが本書のミソだ。

    ■以下はガルブレイス著『大恐慌』からの引用です。
     1927年には、本格的な値上がりが始まった。一日ごとに株価が上がった。その後のことを標準にすると、値上がりはたいしたことではなかったが、、しかし、それは非常にしっかりした足取りであった。この場合にも、平均株価が騰勢を示さなかったのは、1927年中の2カ月だけであった。リンドバーグがローズヴェルト飛行場を飛び立ってパリに向かった5月20日には、この出来事を知らなかった市民もたくさんいた。その日さらに、少しではあったが、しっかりした値上がりを記録した市場は、そのときまでに、忠実なる信者の一隊を獲得していたが、彼らはもっと崇高な出来事にまったく注意を払わなかった。
     1927年の夏には、ヘンリー・フォードが不滅のT型に幕をおろし、A型の準備をするためにその工場を閉鎖した。連邦準備の工業生産指数は、おそらくフォードの工場閉鎖の結果として後退し、どこでも不況の話が聞かれた。市場に対する影響はほとんど感じられなかった。その年の年末には、生産も再び高まっていたが、『タイムズ』紙の工業株は245に達した。それは、その年を通じて正味69ポイントの値上がりであった。
     1927年という年は別の立場から見ても、株式市場の物語における歴史的な年であった。長いあいだ一般に承認されている学説によると、のちの災厄の種がまかれたのは、この年のことであった。その責任は、寛大ではあるが思慮の足りない国際主義の行動にる。
     1927年の春には、3人の堂々たるプリグリムス(巡礼)英蘭銀行総裁、ライヒス銀行総裁およびフランス銀行総裁が低金利政策を促すためにアメリカへやってきた。連邦準備銀行はやむを得なかった。ニューヨーク連邦準備銀行の再割引歩合は4%から3.5%に引き下げられた。政府証券はかなり多額に買い上げられた。その数学的結果として、それを売却した銀行や個人の手には、使い得る貨幣が残った。
    連邦準備銀行がつくってやった資金は、あるいは普通株に投資されるとか、あるいは他の人が普通株を買うのに融資されることに当てられた。こうして資金が得られたために、人々は市場に殺到した。ライオネル・ロビンズ教授の解説書はこう結論している。「いろいろな証拠から見ると、その日から状況はまったく手におえないものとなった」
    shr-horiuchi * こんな本を読みました * 20:38 * comments(0) * trackbacks(1) * - -

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    【書評】『アメリカを変えた夏 1927年』〜今日の技術や文化が普及した年

    リンドバークによる大西洋横断の成功が1927年、フォードがT型からようやくモデルチェンジしたのが1927年、ベーブ・ルースが60本の本塁打を量産したのが1927年、それまで無声映画だった ...
    From なおきのブログ @ 2016/02/10 10:41 PM
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