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コリン・ウィルソン著『オカルト』

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     『オカルト 上・下』(新潮社 1973年)
    著 者:コリン・ウィルソン
    訳 者:中村保男

     『オカルト』は出版された当時たいへん話題になりました。コリン・ウィルソンはこの本でも『アウトサイダー』と同じように、多方面の分野から膨大な引用をし、人間の意識・精神の覚醒との関連が真摯に取り組まれています。
    以下『オカルト』からの引用です。

     人間はこの選択、ー偉大なる部分に従うか、それとも卑小な部分部分に従うかーをなしうる唯一の生物である。この違いは、人間特有の想像力の如何にかかっている。動物は、退屈な環境にいると、退屈してくるし、あらゆる鳥の中で最も獰猛な鷹でさえも、頭に黒い袋を被せられると静かになる。
     これにたいして、人間のより秀れた意識は、彼がもっと遠方を見うることを意味している。人間の目的感覚はずっと遠方まで伸びるのである。しかし、私たちは99%までが動物であり、ごく僅かの者しかこのユニークな能力を発達させようとして手間をかけることが無い。
     私たちは一日から次の一日へとその日暮らしを送り、物事が退屈になると自分も退屈し、目先の見通しが悪くなるとふさぎこみ、興味深い挑戦をうけたときだけ予見と想像の力を用い、そうでないときには使わずにそれを放置しておく。しかも、この状況は、ほとんど四六時中、私たちの全てにあてはまる。
     「巻き込まれている状態」が私たちの運命なのである。私たちをしてユニークに人間たらしめているのは、巻き込まれていない不思議な瞬間なのである。そのとき、圧力とせわしなさは消え、突如として私たちは、自分たちが神であるかのように、遠方から生を眺め、普段の蛆虫的な観点よりはむしろ、鳥瞰図として生を上方から眺める。こうした楽観と肯定の瞬間にあっては、私たちがかって一度でもふさぎや敗北の状態に陥ったことがあるということが馬鹿げて見えてくる。不意に私たちが敗北せしめられない不滅のものだということがはっきりするからだ。そのとき、あらゆる妥協や後退が馬鹿げた誤算の結果であることが分かる。

     うっすらとした先史時代の領域から、「オカルティズム」の既知の記録された歴史(そこには、遺憾なほど多量の贋物と純然たるナンセンスがある)の中に移っていく前に、私たちは、魔術が心霊の隠れた部分に関係があることを銘記すべきである。魔術は、人間の隠れた能力を探索する科学であるということも出来よう。
     魔術は、人生には、眼や日常の感覚に触れる事柄よりも多くのもの、はるかに多くのものがあるという強い直観に基づいているのだ。そして、この考えが直観としてはっきり把握されたならば、それは途方もなく大きな快適な興奮を生み出すのである。
    迷信や贋物がこの驚異の状態を害することを許してはならない。というのも、この驚異の状態は、その表われ方がいかに不合理なものであろうとも、実在と関連しているからである。

    shr-horiuchi * こんな本を読みました * 21:02 * comments(0) * trackbacks(0) * - -

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